“糖尿病におけるチーム医療〜令和6年度診療報酬改定をうけて〜”
横山宏樹、渡辺伸明
2024年9月8日に開催された全臨糖での全員討論では、テーマとして“糖尿病におけるチーム医療〜令和6年度診療報酬改定をうけて〜”を掲げ、医科歯科連携およびチーム医療の実施状況が議論された。
1)医科歯科連携に関するアンケート結果から
医科から歯科への紹介状数は年間平均5.4通、歯科から医科への紹介状数は年間平均16.7通であり、共に内容的には抗血小板療法の有無が主であった。各地域において、歯科受診を推奨するための歯科施設リストが公開(作成)されている所は12地域(17%)とまだ少なかった。表1に示すが、糖尿病通院者にどの程度歯科受診を勧めているかは、90%以上の通院者に勧めているが33%で、勧めているのは40%未満と答えた施設が45%を占めた。糖尿病連携手帳の歯科の欄を使用している施設は36施設(51%)あった(表2)。今後は、連携手帳のさらなる活用による情報交換、あるいは診療情報連携共有書を起こして情報交換を行う必要性が、考えられた。内容的にも、内科からは血糖・血圧・脂質の管理状態・処方内容・合併症情報を、また歯科からは歯数・歯周病や口腔清掃の情報を交換することが望ましいと考えられた。また医師会と歯科医師会の組織を通しての情報連携への共同した取り組みの必要性も議論された。
2)チーム医療に関するアンケート結果から (図1~図8)
全臨糖会員施設には看護師、管理栄養士、臨床検査技師など多職種の医療スタッフが在籍している。このたびの報酬改定でもチーム医療の推進が求められているが、糖尿病を専門とする医療機関においては、既に各職種がそれぞれの特性を活かした役割をチーム内で発揮していることがうかがわれた。処方は95%で院外がメインとなっており長期処方化が進んでいる。病状に応じた処方日数を選択していると思われ、リフィル処方箋については大方が様子見の姿勢だった。生活習慣病管理料にはⅠとⅡがあるが、93%の施設でⅡを選択していた。管理料の要件のひとつである療養計画書については、その作成と説明にあたり多くの施設で医療スタッフの協力が得られていた。施設発表でも、診察前や診察中にスタッフが情報を収集し共有することで、診療の質が向上するとともに待ち時間が減少したとの報告があった。医師の立場から今後タスクシフトしたい業務として、カルテ作成やデータ管理におけるサポート、インスリン投与量調整やシックデイ時の処方調整の指導などがあげられていた。このたびの診療報酬改定は収益上マイナスであるが、糖尿病専門医療施設においてはスタッフのスキルアップとチーム医療の強化が図られ、さらなる診療レベルの向上のきっかけになる可能性がある。